私がボカロを積極的に聞くようになったきっかけは、SaiB氏なのです。
ボカロはテクノやエレクトロニカ系ジャンルにしか合わないだろう…というそれまでの私の偏見をぶち壊してくれたのが、SaiB氏の『愛と茄子と平和な果実』で。
荒々しく暴れ回るロックサウンドに、あっけらかんとしたミクの可愛らしいボーカルがマッチしているのがとてつもなく衝撃的でした。この曲にハマったのを境に、私はありとあらゆるジャンルのボカロ曲を聴くようになりました。
同人CDを買い漁るようになったのも、この方がとあるコンピレーションCDに参加するという情報を聞きつけたのが始まりです。ボカロを通して様々な表現に挑戦する人たちの存在、その文化の面白さに、私は一気にのめり込んでいきました。
それから好きなボカロPの数はどんどん膨れ上がっていきましたが、その頂点にはずっとSaiB氏の存在がありました。
『愛と茄子と平和な果実』でクオリティの高いMVを自作していたAnded氏と正式にコンビを組み発表したこの『偶像崇拝』は、まさにSaiBサウンドの集大成と言って過言ではない名曲に仕上がっています。もっともっと再生されて然るべき大作だと思います。
新曲の『LARMENT』のMVも『偶像崇拝』と同じくAnded氏が担当しており、その凄まじい映像美にはため息しか出ないほどです。そのAnded氏は寡黙なSaiB氏とは打って変わって、自身のFANBOXで今作についてのコメントを出しています。
ただ、この方の創作や文章の真意を読み解くのは非常に「難解」だと感じています。おそらくAnded氏の表現を真の意味で理解出来る人はいないのではないでしょうか。そもそも他人に理解させようという意志が薄いような印象すらあります。
Anded氏の画風は非常に独特。今風の萌え絵と西洋美術の融合とでもいいますか、他に同じような系統の絵を描いてる(描ける)人をあまり見たことがないんですよね。少なくともマンガアニメだけに浸かったオタクから生まれるものではないなと。
私はAnded氏の創作に対する情熱やストイックさをとても尊敬しているし、そうした部分がSaiB氏と共鳴したからこそコンビを組んだのだろうと思っています。
しかし、SaiB氏が螢白書と名前を変えて復活したのと入れ替わるように、今度はAnded氏がXアカウントを削除してしまいました。FANBOXの更新は続いていますが、それもいつ途切れてしまうか。
話を戻します。
この『LARMENT』をどう解釈するかは、SaiB…いや螢白書氏の次の曲を聴いてから改めて考えるべきじゃないかと思ってます。次も同じような曲になるのか、ミクの再使用はあるのか、もしかしたらボカロですらないかもしれない。とにかく、これからどんな活動をしていくつもりなのかが見えて来ないと、どうにも判断がつきません。
なんにせよ、私はこれからもSaiB改め螢白書氏を追い続けますし、応援してくつもりです。