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【Archive】ワールド・デストラクション[NDS]

WD10周年
 今年の9月25日に『ワールド・デストラクション』は発売から10周年を迎えます。世間の評価こそ振るわなかったものの、私にとっては非常に思い出深いゲームの一つです。作品としての出来の良さと、個人的な好き嫌いは必ずしも一致しない…要は、「面白かったけど嫌い」「つまらなかったけど好き」という一見相反した感情が両立するケースに初めて遭遇したのが『ワールド・デストラクション』だったんですね。世間の渋い評価にはある程度納得しつつ、それでも私はこのゲームが大好きなんだと(苦笑)。

 そういう風に思えたのは、ひとえにゲームより前に発表されたアニメ版と漫画版の存在のお陰なんだと思います。どちらも原作ゲームとはストーリーどころかキャラの性格や設定まで異なるパラレルワールドのような展開になっていながら、その事が結果的に「足りない」原作に対する「肉付け」となっているのが面白いんですよ。それは発売前に原作の内容をネタバレするわけには行かないから…と苦肉の策で行ったメディアミックスであるのでしょうが、実際は原作ゲーム・アニメ版・漫画版全てに目を通すことで、ようやく『ワールド・デストラクション』という作品の全容が見えてくる、そういう構成になっているのです。ゲームだけプレイして「???」となってしまった人は、ぜひアニメと漫画をチェックしてみる事をお勧めしたいですね。

 ひたすら原作を再現することだけが是とされがちなメディアミックスにおいて、「そうではないもの」の存在意義に気づかせてもらえたのは、私の中でとても大きな発見でした。
 同じお話を媒体を変えて何度も繰り返すより、別テーマを用いて多角的に作品を見せていく方がずっと面白いじゃないですか?それが受け手にとって「是」であっても「非」であっても、得るものは多いのではないかと思います。

 以下はゲームをクリアした直後(2011年頃)に書き殴ったネタバレ感想の再掲。
 上記の考えに至るまでの過程がうっすらと伺えるかと思います。
 いずれアニメ版と漫画版についてもがっつり語りたいですねー。
 以前よりちまちまと進めていたゲーム版ワルデス、ようやくクリアする事が出来ましたよっと。
 アニメは本放送で最後まで視聴してましたし(今になってDVDを買い集めて見直したりしてますが)、漫画版の方もつい最近購入して既に読破済。
 ワルデスの関連作品は一応フルコンプリートしたと言えるのではないかと。勢いで設定資料集も買っちゃいましたし。…まるで信者じゃないか!(笑)

 そういう訳でゲームの感想をアニメ・漫画版と総括して語ってみたいと思います。

 ゲーム版ワルデスのRPGとしての出来は、ハッキリ言って今ひとつです。気になった点を一つ一つ挙げていったらキリがない。悪い意味でツッコミ所満載。
 肝心のストーリーが「世界を撲滅する」なんて物騒で大層な目的を掲げているにも関わらず、なぜそうしなければならないのかという大局的な視点に欠け、終始限られた登場人物達だけでドラマが進んでいっちゃうんです。メインキャラ以外のその他大勢の人達の存在を全然考慮してないんですね。
 「獣人が人間を支配する世界なんて間違ってる!」なんて言われても、そこでそれなりに幸せに生きてる人達がいると考えれば、世界撲滅なんて考えにはとても賛同できない。なのにほんの少数のメインキャラの都合だけで、各地を支配する獣人のボス達を次々にぬっ殺していく、という非道な行為を淡々とこなさなければならないのです。…なんと横暴な。

 一事が万事こんな調子なので一体どういう視点で楽しめばいいのか(戦闘システムのダルさも含めて)なかなか掴み所がなくて、正直プレイするのが辛かった。一旦途中で放置してしまったのもそのせい。
 しかし、中盤のあるイベント…ぶっちゃけて言えば、キリエ死亡~復活の一連のイベントを見て、このゲームの見る目が変わりました。あ、これ、実は壮大なラブストーリーなんじゃない?と(笑)



 それまでごく平凡に生きていた少年の人生は、一人の少女との出会いをきっかけに劇的に変わってしまった。
 少女と共に行動する内に、芽生えていく淡い恋心。
 しかし少年は自分に課せられた重い使命を知り、戸惑い、絶望し、ついには死を選んでしまう。
 それを救ったのは、少女の少年への純粋な愛。見事復活を遂げた少年は、彼女のために自分の力を使うことを決意する。
 たとえ、それが全世界を敵に回すことになったとしても…。



 …こう書いてみるとあら不思議、一気に魅力的なシナリオに見えてくるじゃないですか!
 実際、このゲームは主人公・キリエの成長物語としてはちゃんと段階を踏んで描けていることに気づきます。このイベント後のキリエははっきり言って無敵です。強すぎです(笑)

 それからはもう、「キリエとモルテが幸せなら何がどうなったっていいや!」そんな気持ちで楽しんでプレイ出来ました。
 一人の愛する女の我侭を叶える為、世界を混乱の渦に巻き込むちょっぴり傲慢な恋愛物語。こういうの、案外大好物だったりするのです。

 まぁそういう目で見たとしても足りない部分は多々あるのですが、それはアニメ版、漫画版である程度補完出来ます。
 例えばゲーム版ではモルテの心理描写は圧倒的に少ない(記憶の闇で一人だけ過去を語らない等)のですが、アニメ版はむしろそこを中心に物語を作っています。ただゲームと大分設定が異なるので、アニメの描写をそのままゲームに適用する事は出来ません。しかし、ゲーム版がキリエの精神的成長を中心にしてることを考えれば、ちょうど対になる形で面白いかなと。
 漫画版はモルテをキリエと同類の人間に設定したことで、二人の絆をより強固に描写しています。キリエがモルテをはっきりと拒絶する場面はここでしか見られません。…結局はそれも「愛ゆえに」の事だったりするのですが…どんだけだよお前ら。

 トッピー、リ・ア、ナジャ、アガンといった仲間たち、実は彼らの存在はオマケです(オイ)。
 このゲームはキリエとモルテ、この二人が全て。彼らを好きになれなければ、この作品を真に楽しむ事は出来ないでしょう。…ハードル高ぇなあ(笑)

改稿:2024.08.22

プロフィール

明日から本気出す
HN:ぷにょにょん(仮)
レトロゲームをネタに妄想を滾らせることを生き甲斐にする拗らせオタク。二度とは戻らぬあの頃に思いを馳せては感傷に耽っている

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