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【Archive】イース[OVA]

OVAイース①OVAイース②OVAイース③OVAイース④   
 1991年に製作されたイースのOVA、win版イース完全版の特典ディスクにて視聴しました。
 敢えてゲームより先にOVAに手を出したのには理由があります。イースシリーズでは基本的に主人公のアドルには主体的な台詞を与えておらず、彼の真意についてはプレイヤー側の想像に委ねる形をとっています。私はその想像の余地を自分の好きなように埋めるよりも、まず(当時の)公式が想定したアドルの人物像を知りたいと思いました。私はどうしても、「アドル・クリスティンが一体どんな人物なのか」を何より最初に把握しておきたかったんです。

 同じファルコム製作の『ドラゴンスレイヤー英雄伝説2』の主人公・アトラス王子は久々に自分の中で大当たりの男性キャラクターでした。私はどんな作品でもどちらかといえば女性キャラに惹かれる事が多いですが、男性キャラにハマった場合は女性キャラ以上にのめりこむ傾向があります。後者のような作品に出会う事の方が私にとっては珍しいのです。
 イースの主人公・アドルも、外見や設定を見る限り私の目には魅力的に映りました。そんな彼がどんな人物であるのか、手っ取り早く知るにはアニメという媒体が一番わかりやすいと思ったわけです。一応、事前に1のOVAはある程度原作に忠実に作られているというのも聞いていたので、ちょうどいいのかなと。
 結論から言うと、このOVAで描かれたアドルはすごく良かった。めっちゃ萌えました。
 年相応の少年らしい、素直で純朴で実直な人柄が良く表現されていて、彼についての好きなシーンを上げたらキリがないくらいです。
 特にお気に入りの話は第3話。OVAイースは作画が安定しないなどと言われてるのを見たことがありますが、全7話の内、作画が乱れているのは実はこの3話だけです(苦笑)。おそらく全話の中で最も動きが少ない回なので、意図的にリソースを削ったのではないかと邪推してみます。しかし、私はこの3話こそがOVAイースの真骨頂であると声高に主張したい。

 まず冒頭のアドルとフィーナの水遊びシーンからして最高。この二人のこんな幸せなひと時を見せられて、ときめかない人間がいるのでしょうか、いやいない(反語)。
 その後木の枝に二人並んで座って語らうシーンの、アドルのこの台詞が本当に大好き。



「世界は本当に広いんだ。色んな国があって、色んな人が生きてる。僕なんか、知らない事ばっかりさ。だから僕は、この広い世界を少しでも多く見てみたいんだ」



 フィーナが自分の記憶を失ってることに対し不安を抱いてることを吐露した際の台詞ですが、冒険を夢見るアドルらしい、気遣いと優しさに満ちた言葉だと思いませんか。この台詞の前に雲の読み方を港の漁師に教えてもらったことを楽しげに話す所もイイです。人との関わりを当たり前のように大事にしている姿勢がよく表れています。

 アドルだけでなく、他の登場人物の描写も素晴らしいです。
 同3話、場面が変わりミネアの町。ここではアドルを導いた占い師のサラと、盗賊のゴーバンが神官の一族としての使命に苦悩するシーンが描かれます。自らの手引きで危険な旅へと送り出してしまったアドルの身を案じ、自身も魔物に襲われ死ぬかもしれないという恐怖を必死に押し隠そうとするサラの姿は健気で痛ましい…そんな彼女を傍で守ってやれない事に苦しむゴーバンもまた切ない。
 この描写があるからこそ、後のゴーバンがアドルを叱責する場面が引き立ちます。それぞれが自身に課せられた使命を果たそうともがき進もうとする中で、それを投げ出そうとするアドルを許せるはずがない、放っておける訳がない。

 石に変えられてしまったサラを前に茫然自失となりすぐさま自信を失う所といい、第3話に限ったことではないのですが、OVAのアドルはそこまで「強い」人ではありません。イースの物語がアドルにとって初めて経験した冒険らしい冒険というのもあるのでしょうが、結構ドジを踏んだり失敗したりといった描写が多々見受けられます。その度に周りの人に助けられ、成長し、少しずつ前に進んでいく。作中で選ばれし勇者と呼ばれ、特別な存在のように扱われても、中身はごく普通の少年のままに。それこそが、OVAで描かれたアドル・クリスティンの最大の魅力のように思えました。

 続く2のOVAも作られていますので、いずれ視聴することになるかとは思います。ただ、1とはスタッフが変わっているようなのでクオリティ的にはどうなのかなという気はしています。世間的評価は1より2の方が高いみたいなんですけどね…

プロフィール

明日から本気出す
HN:ぷにょにょん(仮)
レトロゲームをネタに妄想を滾らせることを生き甲斐にする拗らせオタク。二度とは戻らぬあの頃に思いを馳せては感傷に耽っている

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