まずBD-PG版に同封されていたブックレットに「上からKanonみたいなゲームを作れと言われてさよ教を作った」と書かれているのを読んで吹きました。当時売れ線だったエロゲに対するカウンターであったことは間違いないでしょう。斬新すぎて広く受け入れられるのに10年以上掛かってしまいましたが(笑)
このゲーム、ヒロインの正体が睦月以外全員主人公の妄想の産物だったというとんでもないオチではあったんですが、よく考えてみればありとあらゆる創作の登場人物はノンフィクションでもない限り作者の想像上の産物でしかない訳です。
他人が創造した架空のキャラクターに熱狂する私たち(プレイヤー側)と、自らの脳内から生み出した少女らに救いを求めた人見先生(主人公)との間に、どれほどの差があるというのでしょう?作中で描かれた主人公の狂気は、そのままエロゲユーザーにも跳ね返ってくるものではないかと。
そんなメタフィクション的な楽しみ方もありつつ、単純に狂気の世界観を楽しむゲームとして見てもレベルが高いです。
特にさっぽろももこ先生の手掛けたBGMがとにかく素晴らしいの一言。移動先選択の場面で流れる「immobilite et tourbillon 流れとよどみ」はずっと聴いてると頭がクラクラしてきちゃうし、各ヒロインの専用BGMもそれぞれの性格や生い立ちにマッチしてとても良き…睦月BGMのイントロで流れる宇宙っぽいSEとか神秘的で素敵ですねぇ。
I'veがアレンジを担当した主題歌「さよならを教えて」に関してはもはや説明不要、間違いなくエロゲ史上に残る怪曲の一つでしょう。I'veはダークな曲も沢山作ってますが、さよ教ほど不気味でおぞましい曲は後にも先にもないですね。コンピレーションアルバムにも収録されていますが他の曲と比べて明らかに異質で浮いてます(笑)
終盤で主人公の狂気が一気に暴走していくところはさよ教の見所の一つで、下半身丸出しで廊下やグラウンドを駆けまわったり、時計に複雑なブロックサインを送って意思疎通を図ろうとする場面なんかは初読で死ぬほど笑いました(ぇ
ひたすら陰鬱で悪趣味なゲームではありますが、それも突き抜けてしまうと笑いに転じるんですね…人見てんてー可愛いよ人見てんてー。そりゃとなえさんも母性刺激されて好きになっちゃうよ…(?)
いや~00年代初期のエロゲってやっぱり輝いてましたね(遠い目
この時代の名作エロゲ、今後も積極的に掘っていきたい所です。