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たゆみ。 [PCフリゲ]

 作業用BGMのネタ探しに見ていたこちらの動画でピックアップされていた(動画内03:13~)のが気になってプレイしてみたゲーム。穏やかでどこか寂し気なピアノの旋律が印象的なBGMが妙に耳に残ったのと、紹介されたスクショ画像だけではどんなゲームなのか全く想像がつかず、興味を引かれました。

 実際やってみてもなかなか説明がしづらい内容です。ゲームブック風ADV+パラメータ管理シミュレーション、数学をモチーフにしたメタゲー…と言えば伝わりますでしょうか。白い部屋で一人閉じこもる少女・たゆみちゃんを外の世界に引っ張り出すのが目的。
 最初こそ適当に選択肢を選んでいても何とかなりますが、Lv.3以降はある程度メモ取りや戦略を考えないとあっという間にゲージが減ってBADEND行き。最終的には運頼みの部分もあるので漫然とプレイしていてはクリア出来ない程度には難しいゲームです。

 本作における最重要キーワードは「ゼロ除算」
 数学の世界において、「0で割る」というのはいわゆる禁止行為となっています。(※参考動画→【ゆっくり解説】なぜ0で割ることができないのか?数学の不思議
 作中でたゆみちゃんがオリジナルの記号を定義しゼロ除算を可能にしようと試みますが、ナレーションや悪魔さんに総ツッコミを入れられ断念せざるを得なくなります。たゆみちゃんが閉じ込められている世界というのは、数学上での定義に縛られたプログラムの世界…つまり”このゲームそのもの”なのです。
 そしてひとたび存在を認めてしまえば、計算者の意志によってとり得る値を自在に操作出来てしまう「ゼロ除算」は、言うなれば「自由」の象徴。たゆみちゃんはその「自由」を求めて不自由なゲームの世界から外へと旅立っていった…というお話だったと私は解釈しました。
 ラストステージ直前のたゆみちゃんの一転攻勢っぷりが熱いんですよ!最初は弱弱しく頼りなげだった女の子が、強くたくましく成長する姿には確かなカタルシスがありました。

 クリア後に出力される「あとがき」がまた良かったんです。
 作者は実はそれほど数学や論理に精通していない(謙遜かもしれませんが)けども、それらへの憧れが高じて作られたゲームなんだと。その気持ちが痛いほどよくわかる(笑)。私も学生時代は数学が大嫌いで、進路選択も文系一択でしたので…数学の奥深さ、面白さに気づいたのは勉強から解放された大人になってからでした。あの頃、もっと真剣に勉強していたら、今とは違う世界が見えていたかもしれない…そんな風に口惜しく思う事もあるのです。

 作者様のHPにお邪魔してみたところ、PC用フリーゲーム以外にも非電源のボードゲーム製作も行っている方だという事がわかりました。その中で一番面白そうだと思ったのが、商業作品である一人用カードゲームゴリティア… 同人版紹介ページの「友達は要りません」の文言が強すぎる。対戦ゲーム嫌いの私には救いのあり過ぎるテキストだ(笑)

プロフィール

明日から本気出す
HN:ぷにょにょん(仮)
レトロゲームをネタに妄想を滾らせることを生き甲斐にする拗らせオタク。二度とは戻らぬあの頃に思いを馳せては感傷に耽っている

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